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URBANISME | ひろがるパリ

『Métro ! Le Grand Paris en mouvement』展


パリはどの範囲をパリと指すのでしょうか? 例えば”東京”であれば、その範囲は東京都なのか、23区なのか、はたまた山手線内なのか・・・。パリは住まいマガジンびおにて以前記事でも書いたように、ある時期のパリは鉄道がぐるっと四周を囲んでいて、はっきりとしたエリアがありました。現在でもパリ20区周縁部はBoulevard périphérique de Paris(パリ環状高速道路)で囲われているので、明確ではあります。


実は、パリも近い未来、拡大していくことになっています。すでにLe Grand Paris(ル・グラン・パリ)としてパリ20区とその周辺の地域が自治体間連合を構成しています。パリ20区では人口は約220万人ですが、このエリアに範囲を広げると、人口約1200万人となり、フランスの人口1/5を擁することになります。そのエリアをより効率的に、またエコロジカルにつないで行くために、Grand Paris Express(大パリ公共交通網)が現在建設されています。La Société des grands projets(ラ・ソシエテ・デ・グラン・プロジェ)という公的機関が主導し進めており、パリ自治運輸委員会、フランス国有鉄道会社など関係者を取りまとめています。


現在のパリにはメトロが14路線ありますが、La Société des grands projetsによると、2030年には新しい4本のメトロの路線(15,16,17,18番線)が生まれ、それに伴い新たに68の駅が建設されます。現在、パリのトロカデロ広場の脇にあるシテ建築遺産博物館 (Cité de l'architecture et du patrimoine)では、そのLe Grand Parisをつなぐ公共交通網であるGrand Paris Expressについての展示『Métro ! Le Grand Paris en movement(メトロ!実行中のグラン・パリ)』を行っており、詳しく知ることができます。 展示はパリの公共交通網の歴史から始まります。19世紀末、当初はメトロもなく、馬がバスを引いていた様子や、初めて建設された1番線の建設中の写真などを見ることができます。その他にも、セーヌ川を越えるための橋の図面や有名なアール・ヌーヴォー様式のパリのメトロの出口などの図面が展示されていたり、文化に重点を置くフランスらしくメトロが出てくる映画などを見ることもできます。



圧巻なのは、オペラガルニエの前のOpéra駅の地下の 3,7,8番線が交差する複雑な構成を表現した模型 1903-1904年にその水を吸収しやすい砂で構成された地下を特別な構造で支えるために建設された各メトロの路線と道路を鉄骨のフレームや配管をみることができる



中でも展示に力を入れていたのは、拡大していくパリの様子。大きなマップでパリが新たな交通網によって広がる様子を見ることができます。




 さらに圧巻なのは、新しくできる68駅のうち主要なものの模型や図面を展示しているコーナー。Grand Paris Expressの建設にあたっては、建築家やアーティストが協働して、そこにしかできない駅施設をつくり、地域を特徴づける役割を担っています。




BIGとSilvio D’AsciaによるPont de Bondyの駅の模型 各駅には必ずアーティストが選定され、建築家と協同しユニークなそこだけの駅、地域の顔とも呼べる施設をつくる


14番線の延長が今年2024年に完了したのち、15番線が2025年の年末に一部運行を開始、16,17,18番線が2026年末に一部運行を開始、2030年末にはすべての路線が完成する予定となっています。すべての駅がオープンすると、それぞれ異なる建築家とアーティストが創り上げたユニークな空間が美術館のようになるのでは・・・と想像します。それを見に新しいメトロに乗ってみるのも良いかもしれません。 



シテ建築遺産博物館 (Cité de l'architecture et du patrimoine)にて、2024年6月2日まで

ウェブサイト Le Grand Paris Express https://www.grandparisexpress.fr/ 

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