hiroko mori
Architecture + Architectural activity for children
建築設計と子どもたちのための建築・工作アクティビティ
hirokomori.com
based in Tokyo, Japan
Auvers-sur-Oise, France
La maison pour les enfants
completion 2024
このプロジェクトは、14世紀ごろに建てられた歴史ある古い石造りの家を、日本から震災などの被災地の子どもたちが海外体験プログラムで短・中期で滞在するための場とするものです。
敷地には古い石造りの母屋が一棟あり、それを取り巻くように浴室や離れ、作業小屋が増築されています。今回は母屋を中心とした既存の居住空間を改修し、作業小屋を取り壊した後にアトリエをつくり、最大で10人の子どもたちが同時に滞在できるようにします。また、日本からの子どもたちが滞在するだけでなく、地元の子どもたちや住人も集えるような地域に開かれた場所とします。
短・中期の滞在とはいえ、町の人との交流もあり、より深くコミットすることになります。そこで、ただ宿泊するのではなく、自分たちの家と町に暮らすように滞在ができないかと考えました。さらに、子どもたち同士が自分たちの体験を語りあい、そして地域の人たちに伝えていく場とするため、自分の家のようにすごし落ち着いた中で、静かに共有することができるような空間を用意します。
敷地は、既存のりんごやぶどうの木があり、野鳥も訪れる自然豊かな庭があります。内と外をシームレスにつなぐ空間を用意し、子どもたちが家の中、そして敷地をぐるぐるとまわり、自然とふれあうことができるようにしています。滞在を通して、子どもたちが自然や環境について考えるきっかけを得られるよう、敷地から出る廃材を可能な限り再利用すること、雨水を利用すること、多様な植物を同居させることなど、環境自体が学びの場となるようにしています。
画家のフィンセント・ファン・ゴッホが晩年居を構え、描いたオーヴェル=シュル=オワーズの教会が庭から見える歴史保存地区にあり、国と市の従来の景観を厳しく守る保存計画に則り、外観を替えることなく、内部空間の改修と外部の石壁の補修を行いました。保存地区ながら矛盾する、市の都市計画による駐車場の設置(歴史的石壁に2m以上の開口部を新設する)を求められましたが、連続する65mの石壁を保存するためにフランス共和国文化省とも協議を行い、駐車場の設置をせず、オーヴェル=シュル=オワーズの歴史的景観を後世の子どもたちに残すプロジェクトを実現することができました。